【初めてのギター選び】購入する前に初心者が知っておきたい知識

「ギターを弾いてみたい!」そう思って楽器店に行ってみても、数えきれないほどのギターがあってどれを選べばいいのか全く分からないと思います。

アコースティック、エレキ、ナイロン弦、スチール弦…専門用語も多くて、何が何だか分からない!

この記事はこれからギターを始めたい初心者の方のために、現役のギタリストで堤之大輝ギター教室も運営している堤之大輝(ツツミノダイキ)が初めてのギター選びで失敗しないための知識をお話ししようと思います。

基礎知識から具体的な選び方まで解説しますので、是非参考にしてみてください。

ギターは大きく分けて3つの主要なタイプがあります。
それぞれに異なる音色、演奏スタイル、そして適したジャンルがあります。
あなたの「弾いてみたい音楽」にどのギターが合うのかを考えてみましょう。

アコースティックギター

アコースティックギターは、電気を使わずに本体の共鳴で音を出すギターです。(電気を使用するエレアコというものもあります。)
その暖かく豊かな生音は、弾き語りやソロギターなどの演奏に最適です。
さらに細かく分けると、主に2つの種類があります。

フォークギター

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金属製の弦(スティール弦)を張っていて、きらびやかでパワフル、そしてサスティーン(音の伸び)の長いサウンドが特徴です。
ボディの形状は様々ですが、ソロギターを弾きたいかたはシングルカッタウェイ(ボディの片側だけが削られている)というハイフレットが押さえやすい形のギターをオススメします。

ポップス、ロック、フォーク、カントリー、ブルースなど、幅広いジャンルに対応できます。
J-POPの弾き語りなどでイメージされるほとんどがこのフォークギターです。
力強いストロークから繊細なアルペジオまで、多様な表現が可能です。
また、スチール弦はナイロン弦に比べて指が痛くなりやすい傾向がありますが、最近では弦のコーティング技術が進歩したり、ライトゲージ(細い弦)を使ったりすることで、多少は指の痛みもマシになるかと思います。
指板の幅が狭いネックのギターだと指をあまり広げなくてもいいので、初心者の方はコードが押さえやすいと感じる人もいます。

クラシックギター

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ナイロン製の弦を張っており、非常に柔らかく、まろやかで温かい音色が特徴です。
指で弾くことを前提としていますが、ポップスを演奏する場合はピックで弾くこともよくあります。

指板の幅がフォークギターよりも広く設計されています。
クラシック音楽、ボサノヴァ、ジャズ、スパニッシュ音楽、ソロギターなど、しっとりとした音色を活かしたジャンルに最適です。

ナイロン弦は指への負担が非常に少ないため、「指が痛くなるのが心配…」という方には特におすすめです。
ただし、指板が広いため、最初はコードを押さえるのに指を大きく開く練習が必要になるかもしれません。
独特の音色と演奏スタイルは、アコースティックな響きを追求したい方にぴったりです。

エレキギター

エレキギターは、弦の振動を電気信号に変換し、アンプから音を出すギターです。
アンプやエフェクター(音色を変化させる機器)を組み合わせることで、クリーンなサウンドから歪んだロックサウンド、幻想的なエフェクトまで、まさに無限とも言える音色を作り出すことができます。
弦はスチール弦で、フォークギターよりも細いものが使われることが多いです。
ソリッドボディ(中が詰まっている)のものが多く、非常に多様な形状やデザインがあります。
ロック、ポップス、ブルース、ジャズ、メタル、R&B、ファンクなど、ほとんどのジャンルに対応した楽器です。
バンドで演奏したいなら、まずエレキギターを検討するべきでしょう。

また、アンプやケーブル、エフェクターなど、ギター本体以外にも必要な機材が多いのが特徴です。
初期費用はアコースティックギターより高くなる傾向があります。
しかし、弦が細く、弦高も低めに設定されていることが多いため、アコースティックギターよりもコードが押さえやすいと感じる人も少なくありません。
様々な音色で遊べるので、飽きずに続けやすいというメリットもあります。


エレキギターの代表的なモデル
エレキギターには、その黎明期から多くの名器が生まれ、その中でも特に有名なのが「ストラトキャスター」と「レスポール」です。これらはギターの音色や演奏性に大きな影響を与えるため、それぞれの特徴を知っておくと良いでしょう。

ストラトキャスター (Stratocaster)

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フェンダー社が開発した、流線型の美しいボディデザインが特徴です。
比較的軽量で、体にフィットしやすいコンター加工(ボディの削り込み)が施されています。

一般的に、クリアでシャープなジャキジャキサウンドが特徴で、歯切れの良いカッティングやロック、ブルース、ファンクなどに良く合います。
シングルコイルピックアップを3基搭載しているモデルが多く、5-wayセレクターによって多彩な音色バリエーションが得られます。
トレモロユニット(アームを使って音程を変化させる装置)が付いているモデルも多く、表現の幅を広げます。

ロック、ブルース、ファンク、ポップス、カントリーなど、非常に幅広いジャンルで使われます。

ストラトを使用している代表的なギタリストは、ジミ・ヘンドリックス、エリック・クラプトン、ジェフ・ベックなどです。

レスポール (Les Paul)

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ギブソン社が開発した、やや重厚感のあるボディと、シングルカッタウェイ(ボディの片側だけが削られている)が特徴です。
ボディはマホガニー材にメイプルトップが主流で、重さからくる豊かなサスティーンが魅力です。

ストラトに比べてパワフルで甘く太い中音域が特徴で、サスティーンが長く、ロックのリードギターなどに良く合います。
ハムバッカーピックアップを2基搭載しているモデルが多く、ノイズが少ないのが特徴です。

ロック、ブルース、ジャズ、ハードロック、メタルなど、特に歪ませたサウンドで真価を発揮します。
レスポールを使用している代表的なギタリストはジミー・ペイジ、スラッシュ、ゲイリー・ムーアなどです。

テレキャスター (Telecaster)

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ストラトキャスターと同様にフェンダー社が開発した、シンプルで無骨なデザインが特徴です。

クリアで抜けの良い高音と、力強い中低音が特徴です。
幅広いジャンルで使用できますが、最近のJ-Popや邦楽ロックでジャキジャキサウンドを出すためにもよく使われます。

これらの代表的なモデル以外にも、SG、フライングV、セミアコースティックギターなど、様々な形状や特徴を持つエレキギターが存在します。

ピックアップ

エレキギターの音色に最も大きな影響を与えるのが、弦の振動を電気信号に変換する部品「ピックアップ」です。
主に以下の2種類があります。

シングルコイルピックアップ (Single-Coil Pickup)

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細長い形状で、コイルが1つだけ巻かれています。

クリアでブライト、歯切れの良いサウンドが特徴です。
高音域が際立ち、きらびやかな音色が得られます。
次に紹介するハムバッカーと比べてノイズ(ハムノイズ)を拾いやすいという弱点があります。
搭載モデル: ストラトキャスター、テレキャスターなど。

ハムバッカーピックアップ (Humbucker Pickup)

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シングルコイルを2つ組み合わせたような形状で、コイルが2つ巻かれています。
シングルコイルに比べて、パワフルで太く、中音域が豊かなサウンドが特徴です。
サスティーンが長く、歪ませたときに迫力のある音が得られます。
2つのコイルがノイズを打ち消し合うため、シングルコイルよりもノイズが少ないです(ハムバッカー=ハムノイズをバッキングする、という意味)。
搭載モデル: レスポール、SG、ES-335など。

これらのピックアップの組み合わせや配置によって、ギターの音色のバリエーションは大きく広がります。

あなたにぴったりの一本を見つけるための重要ポイント

ギターの種類が決まったら、次に具体的なモデルを選ぶ際のポイントを見ていきましょう。
これらを意識することで、後悔のない一本を選ぶことができます。

最重要!「弾きやすさ」はモチベーション維持の鍵

どんなに良い音のギターでも、弾きにくければ練習が続きません。
特に初心者にとっては、弾きやすさが何よりも重要です。

ネックの握りやすさ

ギターのネックは、モデルによって太さや形状が異なります。
手の大きさや形は人それぞれなので、実際に握ってみて、「しっくりくる」「無理なくコードが押さえられそう」と感じるものを選びましょう。
ネックが太すぎると親指が回しにくく、細すぎると安定しないこともあります。

弦高(げんこう)

弦とフレット(ネック上の金属の棒)の間隔のことです。
弦高が低いほど弦を押さえる力が少なくて済み、指への負担が軽減されます。
ですが、価格の安いギターほど調整があまりされておらず、比較的弦高が高めに設定されていることが多いです。
逆に低すぎるとビビリ(弦がフレットに当たって変な音が出ること)の原因になることもあるので、適度な高さが重要です。

ボディの大きさ・形状

特にアコースティックギターの場合、ボディの大きさが抱えやすさに直結します。
全体的にコンパクトになったミニギターもありますが、ボディのサイズのみ小ぶりのモデルもあります。
体格に合わない大きなギターは、演奏中に安定しにくく、疲労の原因にもなります。
座って弾くことが多いのか、立って弾くことが多いのかも考慮して選びましょう。
エレキギターも、ストラップをかけたときのバランスや重さが重要です。

重さ

アコースティックギターは関係ないですが、エレキギターは木材の種類やパーツによって重さが異なります。
立って演奏することを考えると、あまりに重いギターは体に負担がかかります。
長時間弾いても疲れない程度の重さを選びましょう。

予算設定

初めてのギターであれば、ギター本体のみで2万円〜5万円程度の価格帯を目安にすると良いでしょう。
この価格帯であれば、品質が安定しており、十分に楽しめるギターが見つかります。

安すぎるギターの注意点

極端に安いギター(1万円以下など)は、木材の品質が悪かったり、製造精度が低かったりする場合があります。
中古だとジャンク品の場合もあります。
結果的に音程が不安定になったり、すぐに故障したりして、かえって高くつくこともあります。
また、調整されていないギターの場合、弾きにくさが原因で挫折してしまう可能性も高まります。

高すぎる必要はない

最初からプロ仕様の何十万円もするギターを買う必要はありません。
高価なギターは確かに素晴らしいので、憧れがあったり金銭面で余裕があれば1本目から購入するのもいいと思いますが、なにも分からず値段だけで購入すると後々後悔することもあります。
まずは「弾きやすい」「見た目が好き」と感じられる一本を選び、上達してからステップアップを考えましょう。

デザインと見た目

「このギターを弾きたい!」と純粋に思えるような、見た目が気に入ったギターを選ぶのも非常に大切です。
直感的に「カッコいい」「可愛い」と感じるギターは、手にするたびにワクワクさせてくれます。
それは、練習を続けるための大きなモチベーションになります。
音楽は聴覚だけでなく、視覚からも楽しめるものなので愛着が湧く一本を見つけてください。

どこで買う?購入場所のメリット・デメリット

実際にギターを購入する場所も重要な選択肢です。
それぞれにメリットとデメリットがあります。

楽器店

初心者にとって最もおすすめの選択肢だと思います。
メリット
・試奏ができる

実際にギターを手に取り、触って、音を出して、弾きやすさを確認できます。
これはオンライン購入では決してできない体験です。

・店員さんのアドバイス
経験豊富な店員さんが、あなたの希望やレベルに合わせて最適なギターを提案してくれます。
ネックの握り方や、弦高の調整など、専門的なアドバイスも受けられます。

・アフターサービス
購入後の調整やメンテナンス、修理など、困ったときに相談できる心強い味方です。
初期不良などにも丁寧に対応してくれるでしょう。

デメリット
オンラインストアに比べて、価格がやや高めに設定されている場合があります。
また、店舗によっては品揃えに偏りがあることもあります。

オンラインストア

メリット
・価格が安い傾向にある
実店舗を持たないため、人件費や家賃が抑えられ、その分価格が安くなっていることが多いです。
サウンドハウスなどの通販サイトや、メルカリやヤフオクなどの個人間で売買できるアプリもあります。

・品揃えが豊富
世界中のあらゆるメーカーのギターが手軽に比較・検討できます。

・自宅でゆっくり選べる
営業時間などを気にせず、自分のペースで選べます。

デメリット
・試奏ができない
これが最大のデメリットです。
画像と説明文だけで判断しなければならないため、「届いたらイメージと違った」「弾きにくかった」というリスクがあります。

・初期不良や故障時の対応
実店舗に比べて、返品や修理の手続きが複雑になる場合があります。

・情報過多
あまりにも多くの選択肢がありすぎて、かえって選びにくく感じることもあります。
結論として、初心者の方には、まずはお近くの楽器店に足を運び、実際にギターに触れてみることを強くおすすめします。 
そこで知識を深め、納得できる一本が見つかれば、そのまま購入しても良いでしょう。
もし店頭で目星をつけたモデルがオンラインで格安で売られているのを見つけたら、そこで購入するのも一つの手です。
ただし、その場合はアフターサービスについてよく確認してください。

初心者セットの活用

ギターは本体以外にも、演奏を始めるためにいくつか必要なものがあります。
それらがセットになった「初心者セット」も検討してみましょう。

・メリット
ギター本体に加えて、以下のような必要なアクセサリーが全て揃っていることが多いです。
個別に揃えるよりもお得な場合が多く、手間がかかりません。

・デメリット
セットの付属品は、品質があまり高くないこともあります。
例えば、セットのケースは簡易的なものが多く、後々しっかりしたものが欲しくなるかもしれません。
しかし、まずは始めるための第一歩としては十分です。

ギターと一緒に揃えたい必須アイテム

初心者セットに含まれていなくても、これだけは揃えておきたいアイテムです。

ギターケース

付属しているケースはペラペラだったり、中古で購入した場合にケースが付属していなかったり意外と購入することになるのがギターケースです。
デザイン、丈夫さ、軽さ、ポケットの大きさなど選ぶ基準は人それぞれです。
オススメのギターケースを紹介している記事があるのでそちらも参考にしてみてください。

チューナー

ギターの音程を合わせるための必需品です。
クリップ式、ペダル式、アプリなど様々なタイプがあります。
まずはクリップ式が手軽でおすすめです。
ちなみに僕はこのクリップチューナーを全てのギターに付けています。
小さいのでケースに入れる時も外す必要がないのと、表からも目立ちにくいのでライブでも付けっぱなしに出来るところが気に入っています。

ピック

弦を弾くための道具です。
厚さや素材、形が様々なので、何種類か試して自分に合うものを見つけましょう。
初心者の方は薄めのピックをオススメしています。

ストラップ

立って演奏する際に必要です。
エレキギターはもちろん、アコースティックギターでもストラップピンが付いているモデルは多いです。

ギタースタンドまたはギターハンガー

練習しない時にギターを立てかけておく、または壁にかけるためのものです。
ギターを安全に保管し、倒れるのを防ぎます。

クロス(ギター用布)

演奏後の汗や汚れを拭き取ることで、ギターを長持ちさせます。

替え弦

弦は消耗品です。
切れた時のために予備を持っておきましょう。
錆びづらくて弦交換の回数を減らせるコーティング弦というものもあるので、選択肢に入れるのもいいと思います。

・ギターアンプ

エレキギターの音を出すために必須です。
自宅練習用であれば、小型のミニアンプやヘッドホンアンプでも十分です。

シールドケーブル

ギターとアンプを繋ぐケーブルです。

ヘッドホン(アンプに接続可能なもの)

夜間の練習など、音が出せない環境で重宝します。

その他もあると便利なグッズをまとめた記事があるのでよかったらご覧ください。

迷ったらこれ!おすすめの選び方

もしここまでの情報でまだ迷ってしまうなら、以下の簡単なステップで考えてみましょう。

「どんな曲を弾きたい?」
・J-POPの弾き語り、フォークソング、静かな曲を弾きたい → アコースティックギター(フォークギター)
・クラシック、ボサノヴァ、指への負担を減らしたい → アコースティックギター(クラシックギター)
・ロック、バンド、色々な音を出してみたい → エレキギター

「予算はどれくらい?」
まずは2〜5万円を目安に。

「どこで買う?」
まずは楽器店へ!実際に触れてみよう。

まとめ

初めてのギター選びは、期待と少しの不安が入り混じるものですが、この記事があなたにぴったりの一本を見つける手助けになれば幸いです。
最も大切なのは、「自分が心から弾きたいと思えるギターを選ぶこと」です。
多少の技術的な難しさがあっても、そのギターへの愛着が練習を続ける原動力になります。

もし、この記事を読んでもまだ決めきれない、もっと具体的なアドバイスが欲しいという場合は、ぜひお近くの楽器店の店員さんに相談してみてください。
プロの視点から、あなたの状況に合わせた最適な一本を提案してくれるはずです。

僕が主催する堤之大輝ギター教室でも、機材購入などのご相談も受け付けております。
無料体験レッスンを実施しておりますので、もし少しでも興味がございましたらお問い合わせフォームまたは公式ラインからお問い合わせください。