【卒業生が語る】音楽の専門学校は行くべき?やばい?やめとけ?レビュー

「音楽の専門学校に行ってプロになりたい!」
「楽器を演奏するのが好きだから職業にしたい!」

進路を決めるときにそう考える人は少なくないと思います。

実際僕も高校生の時に同じような事を考えていました。

でもネットで口コミを調べてみると、
「やめとけ」「やばい」「行かない方がいい」「無駄」などネガティブな口コミが溢れていると思います。

それは言い方が悪いですが、専門学校に通ったけどプロになれなかった方が書いている事が多いと思います。

実際僕は専門学校を卒業してプロのギタリストとして仕事をしています。

プロになれる人は専門学校に行かなくてもなってるんじゃないかという意見もありますが、僕は専門学校を出ていないとギターで仕事は出来ていなかったと思います。
その理由も後ほどお話しします。

・音楽の専門学校とは

そもそも音楽の専門学校に行くとどのような事が学べるのかを話したいと思います。

はじめに僕の通っていたコースは
ミュージシャン学科 ギター専攻です。

専門学校なので基本的にギターの授業ばかりです。
他にも音楽の歴史、音楽理論、副科(僕はドラムでした)等の授業もあります。

音楽専門学校の1番のメリットは音楽を学べる環境です。

講師は現役で活躍してるミュージシャン、学生はプロを志すライバルという良い環境で音楽を学ぶことが出来ます。

ただ意識が高い人の方が割合が少ないことは現状で、何となくで通ってる人と仲良くなってしまうと時間の無駄になってしまいます。

講師も現役で活躍しているので、将来的に先生というよりは先輩という繋がりになります。
先輩から現場の話を直接聞けるのはかなり貴重な機会だと思います。

・授業内容

まず入学時にレベルチェックが行われます。

そこで自分と近いレベルの人と同じクラスになり、少人数制で授業が行われます。
なので極端に意味のない授業とかはなかったと思います。(もちろん独学で勉強して知っている内容もありました。)

主な授業内容を解説したいと思います。

演奏技術

基礎からレベルの高い所まで演奏の技術を身につける授業です。
実際の演奏に音楽理論を使ってアドリブをしたりとかもします。

フィジカルトレーニング

速弾き、レガート、難解なコードヴォイシングなどフィジカルを身につける授業です。

フレージング研究

ミュージシャンのフレーズをコピーして解析する授業です。
様々なジャンルの研究をします。

リーディング

tab譜ではなく五線譜を読む授業です。
学校オリジナルのテキストをメトロノームに合わせてひたすら読みます。

アンサンブル

他のミュージシャン学科の学生と一緒にバンド編成で演奏する授業です。
各月二曲ずつ課題曲が出され、レベル毎に分かれて演奏します。
こちらはボーカルありです。

インストアンサンブル

インスト(ボーカルなし)の音楽をバンド編成で演奏する授業です。
課題曲の他にセッションの定番曲を演奏したり、自分のオリジナル曲を演奏したりもします。

ステージゼミ

音響や照明などの最低限の知識を学びます。

音楽理論

かなり初歩的な内容から難しい内容の事まで音楽理論が学べます。
レベル別に分かれているので、自分のペースで学ぶことができます。

楽器構造学

楽器の構造について学ぶ授業です。

ミュージックヒストリー

音楽の歴史を学ぶ授業です。

DAW

Cubaseを使って打ち込み等DAWを学ぶことが出来ます。

副科

専攻していない楽器を学ぶ事が出来ます。

ざっとこんな感じですが勘違いして欲しくないのが、全ての授業を真面目に受けるだけじゃ何の意味もありません。

実際学校は真面目に行ってるけど全然結果が出ない方が沢山います。

普通の学校だとそれで良いかも知れませんが、専門学校は卒業することがゴールではありませんので、むしろ今の自分に必要なことを選んでとことん練習する事が大切です。
時間は平等なので必要のないことに時間をかける方がよくないです。

・音楽専門学校のメリット

授業内容を話してきましたが、音楽専門学校に入学するメリットを話したいと思います。

音楽を学ぶ環境

上記でも話しましたが、音楽を学ぶ環境がいいと言うのは欠かせません。
授業で学んだ事を練習して、分からない事があれば講師は友達に聞けるというのはとてもいい環境です。
また、分からない事があったときに友達は分かっている場合はライバル心に火がついてモチベーションがあがります。

講師との繋がり

僕はこれが一番大きかったです。
いわゆるコネってやつですが、これが無ければ音楽業界で仕事出来ていなかったと思います。
コネって言われてもどんな事かピンと来ないと思うので、どんな事があったか一つ一つお話ししたいと思います。

講師業

初めてお金を頂く仕事をしたのは某楽器店での講師業です。
これはまだ在学中の二年生のときに、学校の教務の方にお願いされて始めました。
(卒業後に演奏業が忙しくなって辞めてしまいましたが。。。)
教務の先生も楽器を演奏する人なので、講師以外の方からもお仕事のお話しを頂けます。

師匠との出会い

僕は専門学校の二年間、ロックバンドで売れようとだけ考えて過ごしていました。
でも卒業してからもダラダラするのはよくないと思い、卒業するまでに結果が出なければ解散と決めて活動していました。
しかしバンドで売れるのは簡単ではなく、結局結果が出なかったので卒業と同時に解散しました。

そこで出会ったのが今の師匠です。
師匠は専門学生時代に授業をして頂いていた講師で、専門分野はジャズですが学校のカリキュラム的にジャズの授業はなかったので、ポップスやロックを教わっていました。

バンドも解散するし講師業で生計を立てるのかなと思いつつ、演奏で仕事をしたいと言う思いがありました。
その時に師匠に「お前ジャズ出来そうやな」と言って頂いて人生が変わりました。

正直ジャズは難しいイメージがあるし出来る気がしなかったのですが、こんなチャンスないと思い卒業後その方に師事し、ほぼ毎日付き人として師匠のライブについていかせて頂きました。

そうしているうちに師匠から仕事を振って頂けるようになり、気が付いたら演奏で生活が出来るようになっていました。

これはかなり僕の運が良かったと言えばそこまでですが、結果として専門学校に行かなければ師匠にも出会えてませんし、そもそもジャズを弾いている事はありません。

専門学校時代に講師だった方がライブに見にきてくださったり、一緒に仕事をしてそこからまた広がったり、専門学校にはそういう人の繋がりを作る場所だと思います。

僕より演奏の技術があっても仕事がない方は沢山います。
その人との違いは業界で活躍している方との繋がりだと思います。

卒業後の繋がり

卒業してからも講師の方や教務の先生の方、校長先生からも連絡がきます。
「メジャーデビューが決まってるバンドのギタリストを探してるんやけどやってくれへんか?」
「某劇団のギタリスト探してるんやけどやってみやんか?」
「某楽器屋さんでギターのデモ演奏とトークをする仕事しやんか?」
「今度イベントがあるんやけど、そこでギター弾いてくれへんか?」

数え出したらキリがないくらい沢山お話しを頂けます。

勿論全て引き受けないといけないとかではなく、自分のやりたい事だけ引き受けることが出来ます。
これも専門学校に入っていないと出来ない繋がりだと思うので、専門学校のメリットです。

また、楽器のメンテナンス面でも卒業生は卒業後も無料でメンテナンスして頂けます。
フレット交換、ピックアップ交換等普通にリペアマンに頼むとなかなかな金額になると思いますが、材料費だけでクラフト・リペア科の講師の方にして頂けます。

このサービスも専門学校のメリットかなと思います。

・音楽専門学校のデメリット

これまでメリットを言ってきましたが勿論デメリットもあります。

生徒のレベル

音楽の専門学校と聞くとレベルが高いんじゃないかと思う方も多いと思いますが、蓋を開けてみるとそうでもありません。

勿論入学時から上手い人もいますが、大学と違って受験がないので、極端な話入学してから楽器を始める方もいます。

そんな方でも真剣に頑張ってるならいいですが、中には遊び感覚で通っている方もいて、授業が終わったらすぐにダーツとかボーリングとか関係ない遊びに行く人がいます。

そういう人と仲良くなったりするとモチベーションが下がるのでよくありません。

学生寮も危険です。
遠方から通う方は仕方がないのですが、家に帰ると遊び相手の友達がいるという環境がよくありません。
学校で学んだ事を家で復習して分からない事を次の授業で質問するという形が理想なので、意識の高い仲間が学生寮にいるのならそれは良い環境だと思います。

必ず音楽の職業に就けるわけではない

演奏学科は特にですが、この業界は資格というものがありません。
〇〇検定1級を取ったから今日からプロギタリストみたいなことがないのです。

なので実力と先ほど話した繋がりで自分で掴んでいくしかありません。

学内オーディションがあったり、メジャーレーベルの方が見にきたり、きっかけやチャンスは与えてくれますが基本的に自分次第です。

僕の感覚ですが、演奏学科の音楽専門学校を卒業して
音楽を続けている人 10%
音楽だけを生業にしてる人 1%

くらいだと思います。
中にはレッスンだけを生業にしている人もいます。

他は全く音楽と関係のない仕事をしているという事になります。

ただ全員が本気で音楽で食っていきたいと思っていないのが現状なので、本気で努力してる人だけで統計を取るともっと割合は上がると思います。

学費が高い

専門学校なので学費が高いです。

授業の内容だけで言えば、今の時代YouTube等もあるので独学でも学べますし、月謝を払って音楽教室や個人のレッスンを受けるいう事も出来ます。

専門学校との違いは何かというと、現場で活躍している講師との繋がりや、音楽しか周りにない環境だと思います。
そこに高い学費を払うのかが難しい所ですが、僕は結果として通ってよかったと思っています。

・さいごに

音楽の専門学校というとどうしても悪いイメージの方が多いと思います。
それは圧倒的に成功している人の方が少ないからです。
「音楽は習うもんじゃない」
「センスがないと無理」
「有名なアーティストは専門学校を出ていない」

ネガティブな事ばかり世の中に流れていると思いますが、もちろんいい面もあります。

ただ学校選びはかなり慎重に行って自分に合った学校を探してください。
僕は複数の学校を入れるとオープンキャンパスだけでも少なくとも30回以上は行きました。

僕が決めた学校はキャットミュージックカレッジ専門学校ですが、他の学校だと今の師匠にも出会えてないですし、ギターも辞めていたかもしれません。
もしかしたらもっとよかったかも知らないですし、それは行ってみないと分かりません。
結果的には僕は通ってよかったと思います。

高校生の頃、僕は進学コースだったので大学に進学するつもりでいました。
でもギターが大好きで部活は軽音学部、部活が休みの時は友達の遊びを断って家でギターを弾いていました。

三者面談の時、志望校を聞かれて大学の名前を出すと、普段から僕の様子を見ていた母親は、「大学行ってもどうせ勉強なんかしやんやろ!家でギターばっか弾いてるんやからギターの専門学校行き!」と言ってくれました。

かなり覚悟を決めて言ってくれたと思うんですが、まさかそんな風に思ってくれてるとも知らず、当時の先生は「息子が大学に進学しようと考えてるのに音楽の専門学校勧める親がどこにおんねん!」とかなり反対していました。

その後家に帰って話し合って「自分の人生なんやから後悔しないようにやり!その代わりお金は自分で出しや!」って言ってくれてめちゃくちゃ感謝しています。

僕は親に背中を押してもらって専門学校に入学する事を決めましたが、これは極めて稀で多くは専門学校に通いたいけど親に反対されるという事が多いと思います。

そういった方は普段から努力してる姿を見せて、学費は自分で払うとアピールすると親御さんも応援してくれるかもしれません。

あまりにもネット上に音楽専門学校を批判する声が多いので、「良いところもあるんだよ」ということを言いたくて記事を書いてみました。

受験シーズンの進路選択に参考になれば幸いです。

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師匠(キサクモトフサさん)と僕(堤之大輝)の2ショット