【コンテンポラリージャズギター】F ジャズブルース ソロ アナライズ Tab譜あり

2020年にSNS上にアップした僕の動画を最近自分でコピーしてみたところ、面白いアイデアが沢山あったので、皆さんに共有出来たらと思い投稿させて頂きます。

まずは動画をご覧ください。

いかがだったでしょうか?
皆さんが想像している王道なジャズブルースのサウンドとは少し違うと思います。

でも実は難しいことはしていなくて、考え方が分かると誰にでも似た雰囲気のサウンドを出すことが出来ます

では早速解説していきましょう。

まずは譜面ダウンロードをお願いいたします。↓

はじめに今回このソロを解説するにあたって、大事な2つのキーワードがあります。

  • メロディックマイナースケール
  • オーギュメントトライアド

この2つが今回のソロを解説する上での大事なキーワードになってきます。

・メロディックマイナースケール

メロディックマイナースケールは、メジャースケールの3度の音を半音下げたものです。

R 長2 短3 完4 完5 長6 長7という並びの音階で、Cを基準にした場合だと実音は、
ドレミ♭ファソラシになります。

m7上で使うことで少し浮遊感のあるサウンドになります。(7thの音がアウトする。)

・オーギュメントトライアド

R 長3 増5で構成されたトライアドです。
Caugだと構成音はドミソ♯になります。

オーギュメントトライアドは個人的にかなり好きなサウンドで、簡単に破壊力のあるアウトサウンドを作る事が出来ます。

オーギュメントトライアドをそのまま使うのももちろんいいのですが、上記で紹介したメロディックマイナースケールと組み合わせる事で真価を発揮すると僕は思っています。

前置きはここまでにして、冒頭で演奏した実際のソロを分析して解説していきましょう。


・ソロ解説

では早速解説をしていきたいと思います。

このソロはアウフタクトで弾き始めています。
アウフタクトの部分のコード進行は、ジャズブルース進行の12小節目を想像してください。
key=Fのジャズブルースなので、Gm7 C7になります。

ですが、このフレーズは頭の中で1小節目のF7を先取りして想定しています。
F7と想定してアナライズしてみると、ドミ♭ソシ♮の4つの音を見てFのリディアン♭7thスケールを使用している事が分かります。

ここで重要なのはフレーズをアナライズする時に、演奏者はどんな意図があってこの音を選んでるかという所まで考えることです。

先ほどのフレーズだけ取っても、使用しているスケールだけ分かってもまだ演奏者の意図までは気付けていないので、アナライズとしては50点です。

僕がこのソロを弾いた本人というのもあるので細かい考え方まで分かるのは当たり前ですが、このフレーズの本質は前置きで話したメロディックマイナースケールオーギュメントトライアドにあります。

Fのリディアン♭7thスケールという事は、
Cのメロディックマイナースケールとも考える事が出来ます。
(話が長くなるのでここでは割愛させて頂きます。)

なので、メロディックマイナースケールを使用したフレーズとも言い換えることが出来ます。

オーギュメントトライアドはフレーズはじめの1音以外の3音を見てみると、Bのオーギュメントトライアドになっています。
オーギュメントトライアドは長3度で転回することが出来るので、
Baug=D♯aug=Gaug
と考えることが出来ます。

オーギュメントトライアドはドミナントのような役割(♯5を♭13と考えるとオルタードテンションとも考えられる)もあるので、今回の場合Cのメロディックマイナースケールに対してGaug(G→Cの様な4度進行を作る)を想定してあげると、メロディックマイナースケール上でオーギュメントトライアドが使用出来ることが分かると思います。

これが今回のフレーズの肝で、メロディックマイナースケール上にオーギュメントトライアドが隠れているので、それを上手い事使うと美味しいサウンドを出すことが出来ます。


では1小節目に入っていきましょう。

全体的にコードトーン重視のフレーズです。
1弦9Fのレ♭は次のドに対して半音上からのアプローチです。
全音上のインサイドの音ではなく半音上の音を敢えて使うことによって、ダークなサウンドを作り出す事が出来ます。

最後の1音は♭9から半音にも満たない微妙なベンドをしています。
これは次のコードがB♭7で、F7から見るとドミナントモーションしてるとも考えることが出来るので、不安定なサウンドを作り出しています。

あとは、全体的な音の流れとしてアウフタクトのフレーズは音が上がり、1小節目は下がるという対比も作っています。


2小節目はB♭7に対してFm7を想定しています。
そのままB♭7と見てミクソリディアンと考える事も可能ですが、Fのドリアンと見た方が自然だとは思います。
Fmのコードトーンをなぞった後に、3.4拍目でリズムモチーフを使ったフレーズで締めることによって、フレーズにまとまりが出来ます。


3小節目は1.2拍目にF7、3.4拍目にF♯7を想定して、それぞれのリレイテッドⅡm7である、Cm7とC♯m7に置き換えてソロを弾いています。
リレイテッドⅡm7は簡単にいうと7thコードを細分化してⅡ-Ⅴにした時のⅡm7の事です。

2拍目はCm7を想定して、ファ♯はソに対する半音下からのアプローチです。
3.4拍目は半音上のC♯m7を想定しています。
半音上のコードを想定するというのは、簡単にアウトが出来る上にかなり強烈なので、使い方には注意です。

フレーズ解説ですが、ここでもオーギュメントトライアドが使われています。
ここで使われているのはC♯m7に対するG♯augです。

それと持論ですが、
オーギュメントトライアドは全音と相性がいい
というのが僕が普段から思っている事です。

オーギュメントがホールトーンと似たサウンドがあるので、そこが関係するのか分かりませんが、今回のフレーズでいうと、オーギュメントトライアドで上がった後に4拍目でソ♯ラ♯ドと全音で繋いでいます。
僕はこのサウンドが好みでよく使っています。


4小節目のF7は次のB♭7にドミナントモーションしているので、オルタードテンションを含むフレーズを弾くのが一般的です。
ですが、あえてナチュラルテンションを少し入れてみると、また違った雰囲気が出てそれもよかったりします。

1拍目から2拍目の1音目までは短3度上のA♭mM7を想定しています。
(Fからみて♭3、♯11、b7、9)
その中にFのルート音も経過しています。
そこからFから見た半音上のF♯のオーギュメントトライアに接続しています。(ファ♯レラ♯)
この様に別のコードを連結させるアイデアもおすすめです。

3.4拍目はオルタードテンションを使用しながらリズムのモチーフを使ったアプローチで、B♭7に対する5度に着地しています。


5小節目から6小節目の2拍目まではB♭7に対してのリレイテッドⅡm7のFm7を想定して、Fm7のコードトーンをそのまま弾いています。
6小節目はBdimにコードが代わっていますが、1.2拍目は無視してB♭7を意識しています。(構成音がR以外同じ為)

3.4拍目はBのディミニッシュスケールをそのままなぞっています。
音はBディミニッシュスケールと同じですが、頭の中では半音下のB♭コンビネーションオブディミニッシュスケールを想定しています。
これは僕が普段から使い慣れてる為考えやすいだけで、使い慣れてる考え方で結構です。


7小節目はそのままディミニッシュスケールを下って、2拍目にF7の♭7に解決しています。
この様に解決する音を遅らせる方法を、ディレイドリゾルブと言います。


8小節目はAm7 D7ですが、頭の中では大きく捉えてD7だけで考えています。
ここは次のコードのGm7に対するドミナントを考えるのが一般的で、今回もオルタードスケールを使用したフレージングになります。

2拍目はDの半音上であるE♭mM7を想定したフレーズです。
半音上のmM7はオルタードスケール上にあるコードです。
3.4拍目はDのオーギュメントトライアドをなぞっています。


9小節目はコードトーンを中心に様々なアイデアを使用したフレーズです。

1拍目は2拍目頭の短3度の音に向かってクロマチックで囲い込みをしています。
その後に完全5度からルートまでクロマチックで繋いで、9th(ラ)を引いた後にGmに対するドミナントのDを想定して、Dのオーギュメントトライアドを弾いています。
結果的にGのメロディックマイナースケールを弾いていることになります。


10小節目の1.2拍目は、C7から見て増4度上のF♯7を想定しています。
俗にいう裏コードというものです。
その上でF♯のメジャーペンタトニックスケールを想定しています。
F♯のメジャーペンタトニックスケールはCからみて♭9.♯9.♯11.♭13.♭7とかなり美味しいオルタードテンションになります。

3.4拍目は基本的にCのコンビネーションオブディミニッシュスケールを想定して、1箇所だけ♯9に対して半音で囲い込みしています。


11小節目は前半1.2拍目はF7に対して3度の音のみ。
3.4拍目はD7に対してルートを半音で囲い込みした後に、半音上のmM7のコードトーンを弾いています。
8小節目と同じアイデアですね。


最後の12小節目は頭が9thから始まっています。
1.2拍目はリズムモチーフを使ったアプローチ、3.4拍目は1.2拍目で強調した9th(ラ)を半音下げて♭13(ラ♭)に変えて裏切り感を出しています。
その後はCのコンビネーションオブディミニッシュスケールをそのまま下っています。


・さいごに

いかがだったでしょうか?

僕がどのような考えでソロを弾いているのか少しでも分かって頂けたでしょうか?

ただフレーズをコピーして弾くだけではなく、ここまで分析すると演奏者の思考が見えてくると思います。

また、冒頭でお話ししたメロディックマイナースケールとオーギュメントトライアドの重要性もお分かり頂けたでしょうか?

ここで解説したフレーズもただフレーズを覚えるだけではなく、考え方そのものを自分のアイデアの中に取り入れて消化する事が大切です。

かなり実践的で即使えるアイデアばかりなので、是非習得みて使ってみてください。